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コロナでハワイの失業率は全米最悪水準に!ハワイ経済と移住リスク

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コロナでハワイの失業率は全米最悪水準に!ハワイ経済と移住リスク

新型コロナウイルスの感染が拡大し、大打撃を受けたハワイ経済。それまでは全米で最低レベルだった失業率が、20%台まで上昇。全米でも失業率の高い州のひとつとなってしまいました。仕事を求めてアメリカ本土に移り住む人も多く、コロナ前とコロナ禍におけるハワイの失業率はどのように変化したのでしょうか。またハワイでの生活のリスクについて考えます。

ハワイの人口と経済プロフィール

まずはハワイ州と、ハワイの主要都市であるオアフ島ホノルル市の人口や産業などについて、確認してみましょう。

ハワイ州の経済プロフィール

  • 人口:142万人(2018年7月1日時点、全米41位)
  • GDP:910億4,900万ドル(2018年第2四半期、全米39位)
  • 実質GDP成長率:3.1%(2018年第2四半期、全米45位)
  • 世帯所得中央値:74,923ドル(2017年時点、1ドル=105円で約787万円)
  • 主産業:観光業、不動産業、建設業

オアフ島ホノルルの経済プロフィール

  • 人口:99万人(2018年7月1日時点)
  • 実質GDP成長率:1.7%(2017年)
  • 世帯所得中央値:80,078ドル(2017年時点、1ドル=105円で約840万円)

ハワイ経済の主産業は、やはり観光です。さらに近年はオアフ島ホノルルで大型の都市開発が進み、数多くの高級コンドミニアムの建設が進んでいるため、不動産業や建設業も成長していると言われます。

参考資料 ハワイ州進出基礎情報(ジェトロ・ロサンゼルス事務所)

コロナ前はハワイ経済は好調だった

新型コロナウイルスが蔓延するまでのハワイは、魅力的な旅行先として人気が高く、訪問観光客数は年々増加しており、経済は好調そのものでした。

コロナ前までのハワイ訪問観光客数の推移

  • 2019年 1,042万4,995人(前年比+5.4%)
  • 2018年 988万8,845人(前年比+9.3%)
  • 2017年 904万4,346人(前年比+1.1%)
  • 2016年 893万4,277人(前年比+2.9%)
  • 2015年 867万9,564人

訪問客数は毎年増え続け、ついに2019年は年間1,000万人の大台を突破し、地元でもニュースとなりました。また好調のハワイ経済に比例して、ハワイの失業率は3%以下を長いこと推移しており、これは全米でも最低レベルを維持していたのです。

参考資料 HTA NEWS RELEASE: HAWAII VISITOR STATISTICS RELEASED FOR 2019(State of Hawaii)
ANNUAL VISITOR RESEARCH REPORTS(Hawaii Tourism Authority)

コロナ禍におけるハワイの失業率の推移

しかし新型コロナウイルスがハワイでも感染が拡大し始めると、ハワイ経済に大きな影響をもたらしました。2020年のハワイの失業率の変化をご紹介しましょう。

2020年のハワイ州の失業率

  • 2020年1月 2.7%
  • 2020年2月 2.7%
  • 2020年3月 2.4%
  • 2020年4月 23.8%
  • 2020年5月 23.5%
  • 2020年6月 13.4%
  • 2020年7月 13.5%
  • 2020年8月 12.5%

ハワイでの新型コロナウイルス感染者が確認されたのは、2020年3月のこと。その後、感染者が大きく増加する前に、2020年3月下旬からロックダウン(外出禁止令)が5月末まで行われ、この時点でハワイへ到着する航空便は軒並み運休を発表。それにあわせてホテルや観光業がすべて閉鎖する事態となりました。

そのため、ロックダウン期間中の4月と5月の失業率は23%超えと、およそ4人に1人が職を失う事態となり、しかもハワイの労働者人口だけで考えると37%にもなったと報道されました。6月にはロックダウンが解除され、段階的に経済活動が再開されていますが、それでも失業率は10%以上と、高いままとなっています。

参考資料 Unemployment Rate(State of Hawaii)

最低水準だった失業率から、全米最悪レベルに

アメリカは新型コロナウイルスの感染が大きく拡大した国のひとつで、本土でも感染者や死者がたくさん出ていますが、全米で見てもハワイの失業率は高い水準にあります。

アメリカで失業率が低い州トップ3(2020年8月)

  • 1位 ネブラスカ州(4.0%)
  • 2位 ユタ州(4.1%)
  • 3位 アイダホ州(4.2%)

アメリカで失業率が高い州トップ3(2020年8月)

  • 1位 ネバダ州(13.2%)
  • 2位 ロードアイランド州(12.8%)
  • 3位 ニューヨーク州・ハワイ州(同率3位、12.5%)

参考資料 Unemployment Rates for States(U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS)

職を求めてハワイの人口減少か

新型コロナウイルスの蔓延を堺に、全米最低レベルの失業率で好調だった経済から、最悪レベルに様変わりしたハワイ。7月から8月にかけて感染者が急増したことから、8月下旬から4週間にわたりオアフ島で2回目のロックダウンの措置が講じられました。

2度目のロックダウンが解除され、感染者が落ち着いてきた10月現在でも、各種ビジネスは細かい規制の中で行わざるを得ず、しかもスポーツジムやマッサージなどの、感染リスクの高いビジネスはいまだに営業できないものもあります。

このような背景から、ハワイの住民の多くが仕事を求めてアメリカ本土など、別の地域に移住する可能性があると見られ、ハワイ大学のエコノミストは「今後2年間で19,000人の人口減になる」と予想しています。

参考  Economists anticipate Hawaii’s shrinking population will decline further due to coronavirus(Star Advertiser)

ハワイでの生活はリスクが高い!

今回のコロナ騒動で露呈した、ハワイの弱点。それは、観光業だけに頼りすぎている経済構造にあるでしょう。もちろんハワイが観光客に人気の旅行地であることは、とても喜ばしいことです。でもそれだけに頼らない経済体制が必要ということが明らかになったと言えます。

また、ハワイに暮らしていて万が一仕事を失う事態となったとき、さらに生活を厳しくするのがハワイの高い家賃や生活費です。今回の新型コロナウイルス感染拡大によって仕事を失った人は、失業手当の給付がありましたが、それで家賃や生活費をどこまでカバーできるかは不明です。

ハワイは多くの人にとって楽園的存在に映るかもしれませんが、そこで実際に暮らしていくことを考えると、決して容易な世界ではようです。

参考
ハワイに移住したけど後悔…失敗の裏側にある悲しい理由7つ
【ハワイの給料】職業別平均収入&生活するのに必要な時給はいくら?
【ダークなハワイ】ハワイで暮らす日本人の仕事Best10+ぶっちゃけ給料